林業に「不利な土地」ってほんと?~豪雪地帯でも曲がらない杉の育て方。~

150年生の杉の木に、嬉々として抱きつく女子ふたり。
(林業女子会@石川の砂山さんから写真お借りしました^^)

 

やまめの会さんの講演に先立って、前日から福井県へ。

やまめの皆さんの、お気に入りの地域へ連れて行ってくれるというのです。

 

お邪魔したのは、福井県は池田町というところ。

正直「池田町ってどこ?」という感じで、聞くのもお邪魔するのも初めてだったのですが・・・

山あいの、田園風景の広がる山村でした。

 

ここで林業を営まれている江端俊慧さん(71)の山にお邪魔しました。

県内唯一の専業林家さんといわれています。

 

伺ってみると、見渡す限り、美林、びりん・・・

(移動する車中から撮ったので手ぶれすみません)

 

荒れた山が一個も目につかないほど、見るからに手入れが行き届き、下層植生もわんさかです。

(枝が張りにくい品種を植えている、というのも理由のひとつかもしれません)

 

色々な山を見てきましたが、ここまで見渡す限り美しいというのは、初めてかもしれません。

正直、福井県にこんなに素晴らしい山があるとは予想していませんでした。

 

というのも、北陸といえば豪雪地帯。

同じ豪雪地帯の京都の山など、雪の重みで根曲がりしてしまったスギをたくさん見てきました。

どこかで、そんな山を想像していたのです。

 

しかも、この地域は福井県の中でもかなりの豪雪地帯とのことで、多い時には3mも積もる場所。

普通に育てていたのでは、スギは曲がってしまいますので、本来は不利な立地なのです。
しかし、江端さんは、

●雪に強い品種を厳選する

●5年に一回とかではなく、「毎年」すこしずつ間伐をして密度を調節

●こまめに枝打ちをする

という工夫をされて、ここまでの美林を作り上げられました。

特に、品種を選ぶことは大切で、

祖先が伊勢参りの道中に見つけて来たという「金見谷杉」や、近隣が原産の「水海杉」。

これらは、枝が細くて短く、下を向くので、雪がたまりにくい。
さらに枝打ちをすれば、雪で曲がってしまうリスクを低減できます。

それを続けていくと、冒頭の写真のように、150年経っても曲がっていない、豪雪地帯では奇跡のように思える杉になるといいます。

(林床には、山菜の「ミズ」がいっぱい!)

 

江端さんが家業である林業を継いだ当時は、木材は好況に沸いていた時代。

しかし、

 

「全国どこでも、みんなスギを植えていて、
40年後にはいっきに収穫期がくる。
これでは木材が確実に余って、価格が下がるに決まっている。
将来的に道をつけていないと、搬出もできないだろう。」

と、先を見越してていねいな育林をし、他産地に負けない品質をつくり、

周囲の山主を説得しながら道づくりをしながら、

林業をやってこられました。

 

さらに、伐った木は必ず「葉枯らし乾燥」をすることで、色艶をよくして、軽くします。

すると、軽い材は製材工場で働く女性でも持ちあげられるからと、

製材所からは「江端さんの木以外は買わない」といわれるほど、たいへん重宝されるそうです。

(お話に聞き入る、やまめたち)

 

工夫を重ねることで、条件不利にも関わらず
江端さんの木は原木市場でも人気なのだそうです。

 

「条件が不利だと言って、悲観することは何もない」

 

そう言い切る江端さん。

なぜ、豪雪地帯なのに、林業をやれているのか?そこにはトリックや奇抜な技術があるわけではなくて、

林業の基本を、しっかりやっていれば、かならず価値を生み出すことができる。

それを実践されているのが、すごい。

 

「当たり前のことを当たり前にやることだ。それが、いかに難しいか。」

以前、ある材木屋さんに言われた言葉を思い出します。

 

江端さんの山は、どこを見ても粗がないほど、
すべての山に光が入り、美しい山がどこまでも続いていました。

 

林業って、夢があるよ。やれるんだよ。

そんな出会いがうれしく、私もこんな山を作りたい!作ってやる!

と夢を抱いて、池田町を後にしました。