台湾から見た日本の林業その①:「ヒノキ林業」

Hello 台湾!!

 

この連休、久しぶりの海外旅行へ行ってきました。

行き先は、台湾。

 

6年前、学生時代にも行ったことがありますが、

今回は主人と二人で5日間。一応、新婚旅行的な感じで行ってきました♪

 

パスポートの有効期限もすっかり切れていて、

出発の2日前に新しいものを受け取るというドタバタのスケジュールで、

行程も決めきらずにとりあえずインターネットで飛行機とホテルだけ取ったという気まま旅でした。

 

台湾といえば学生時代に友人と行ったとき、

烏來という町で出会ったお爺様が、

「わしは日本人が大好きじゃ」といって

流暢な日本語で町を案内してくださったり、とてもよくしてくださった経験があります。

 

そんないい思い出もあって、

GWの旅行に今回も台湾をチョイスしたのですが、

じつは、今回は新たな野望がありました。

 

台湾桧を見てみたい・・・!!

 

「台湾桧」ってご存知ですか?

業界ではよく「タイヒ」と呼ばれ、日本統治時代から戦後にかけて、日本に輸入されていた銘木です。

有名な例では、西岡棟梁による薬師寺西塔の再建のとき、

日本には1,000年を超える桧がなかったために、台湾からの巨木を使った、

という話は名著「木のいのち木のこころ」で読みました。

 

木自体は材木屋さんでも見かけたことがないのですが、

性質は日本のヒノキによく似ていて、しかも天然ですから非常に目が詰まって、

往時はかなりの高額で取引されていたようです。

 

調べてみると、どうやら台湾の「阿里山」というエリアに、台湾桧の森があるらしい。

 

え、まさかの台湾のど真ん中・・・

 

もちろん「台湾桧に会いに行こう!」などという

マニアックなパッケージツアーがあるはずもなく、

どうやって行くのか謎なまま、

お得意の「なんとかなるだろう」で行ってみようと思っていた矢先、

 

台湾行くの?それやったら、信頼できる台湾の友達を紹介してあげるよ。

 

とおっしゃる奇跡のような方が現れたのです・・・!

夫婦二人とも学生時代からお世話になっている、奈良県の銘木店のT社長です。

あまりの幸運にあっけにとられながらも、

台中にお住いの魏さんという方をご紹介いただき、ご案内いただけることになったのです。

魏さんは台湾で商社を経営されている方で、日本語通訳もされています。

出発前に日本から電話をかけ、とてもよく対応していただき、すっかり安心して旅立ちました。

台北では定番の観光スポットをぐるぐると。

 

英語も日本語もそれなりに通じるのが台湾の嬉しいところで、

料理もおいしくて、街の雰囲気も肌に合う感じ。

わたし台湾なら生活できそうです^^!

 

 

 

台北を満喫した後、3日目の朝。

台北駅から新幹線に乗って、台中へ向かいました。

新幹線の駅と台湾鉄道の駅を間違えて、魏さんと入れ違いなかなか会えないという事態に陥りましたが、なんとか合流することができました。

 

お車に乗せていただき、阿里山へのドライブがスタート!

といっても、台中からはずいぶん距離があるので、

まずは途中にある「嘉義(カギ)」という町へ立ち寄りました。

 

嘉義は2014年の台湾映画「KANO」の舞台となった町。

日本統治時代に甲子園初出場で準優勝した、台湾代表のKANO=嘉義農林高校野球部を描いた作品で、

台湾では大ヒットしKANOフィーバーを巻き起こしたそうです。

日本でも公開されていて、永瀬正敏さん主演、台詞も日本語です。

単なる野球映画ではない、民族を超えた調和を描いたとってもいい映画なので、ぜひご覧ください!

野球が分からない私でも面白かったのですから、ご安心ください。

 

 

魏さんのご友人が、KANOの後身である国立嘉義大学野球部の監督をされているというので、

急遽、大学まで訪ねてKANOツアーになりました。

国立嘉義大学。

その中に、KANOをたたえるモニュメントがあります。

左が魏さん、右はうちの主人です(しばしば現地人に間違われました)。

 

近藤監督と選手の銅像もありました。

大学の食堂の上に、KANO資料館が。

本来は予約制ですが、特別に開けていただきました。

元々農林高校だったこともあり、農業系の学部が多いです。

林学もあります^^

思いがけず台湾の大学見物となりました。

 

ところで、いつになったら台湾桧が出てくるの?

と思うなかれ!

 

台湾桧との最初の出会いこそが、この嘉義大学の売店でした。

それがこちら。

 

産学連携の開発商品のコーナーにありました、

嘉義大学製の「台湾桧エッセンシャルオイル」です。

瓶にも「ALISHAN(阿里山)」の文字が。

 

香りは、日本のヒノキと違い、かなり甘くて濃厚な感じ、

白檀や沈香のような感じもします。

もちろん、お買い上げ!

 

そして驚いたが、このパッケージに書いてある文字

 

Taiwan Hinoki

 

「ヒノキ」って書いてあるじゃないですか。

さらに魏さんと監督の会話をよく聞いてみると、

何やらところどころ「ヒノキ」と言っているのが聞こえます。

我々のために日本語で話してくださっているわけでもないですから、

やっぱりヒノキはHinokiと呼ぶようです。

 

台湾語でもヒノキは「ヒノキ」

 

新発見でした。

これって、ヒノキという言葉を日本人が持ち込んだということでしょうか?

 

監督とご一緒にお昼ご飯は、嘉義名物の鶏肉ご飯などをいただきました。

さすが地元の方に教えていただくお店は美味しいです。

 

そしてさらに監督からいただいた地元情報が、

 

嘉義市内に台湾桧の博物館があるよ

 

とのこと!

野球の町だと思っていた嘉義に、ヒノキの博物館があるなんて。

ガイドブックには載るはずもない情報です、ほんとうにラッキーがつづきます。

 

そして訪れたのがこちら。

その名も「台灣檜木博物館」。

現地の材木屋さんが運営されているようです。

 

中に入ると、台湾桧製品がずらりと並びます。

ご覧ください、このスゴイ巨木

と、私のうれしそうな顔(笑)

 

不思議なかたちの壺や、彫刻などが販売されていました。

「壺を開けると、台湾桧の香りがするのよ~」

と店員さんが教えてくれました。そういう使い方なのかな?

 

お箸、数珠などの小物もあります。

 

ダイニングテーブルは300万円なり(!)

 

せっけんやシャンプーなど、

アロマとしても人気があるようですね。

 

もうどれを買おうかと目移りしながら眺めていると、

「ちょっとちょっと、奥に展示がありますよ」

と魏さんに言われて目が覚めました。

そういえばここは「博物館」なの忘れてました(^-^;

あやうく台湾桧グッズを爆買いして帰るところでした。

展示もさすが充実していました。

 

阿里山の台湾桧は、1900年頃、日本人によって発見され、

森林鉄道をはじめ、林業インフラの開発が進んだそうです。

 

そう、ここ嘉義市は森林鉄道の出発点にあたり、

当日は台湾桧の製材工場があった地域なのでした。

KANOの背景には、きっと台湾桧林業があったのですね。

 

それにしても巨大です・・・

岐阜県は加子母で見た、神宮備林を彷彿とさせます。

これを発見した日本にとっては、まさに第二の木曽、

神木の森を手に入れたような感覚だったでしょう。

 

この台湾桧が日本に渡り、前述した薬師寺をはじめ、

明治神宮や靖国神社にも使われています。

 

今となっては資源保護のため禁伐になっていますが、

近代日本の産業と文化を支えてくれた、大きな存在だったことがわかります。

 

ところで、この台湾人と日本人を魅了して止まない

「ヒノキ」という木ですが、

世界には一体、どこに何種類あるのでしょうか?

今までそんなことは考えたこともなかったのですが、

さすが桧博物館。わかりやすい展示がありましたよ。

 

 

調べてみると、

世界に分布する「ヒノキ科ヒノキ属」は、全部で6種類しかないそうです。

 

タイワンベニヒノキ 紅檜(台湾) Chamaecyparis formosensis

タイワンヒノキ 台灣扁柏(台湾) Chamaecyparis taiwanensis

 

サワラ(日本) Chamaecyparis pisifera

ヒノキ(日本) Chamaecyparis obtusa

 

ローソンヒノキ(北米) Chamaecyparis lawsoniana

ヌマヒノキ(北米) Chamaecyparis thyoides

 

(この地図中にあるChamaecyparis nootkatensisは、現在では分類学上ヒノキ属から除外されているようです)

 

そのなかの2種類が、台湾にある、「紅檜」と「扁柏」です。

扁柏は日本のヒノキの変種で、材質もより日本のヒノキに近いようです。

「台湾桧」が2種類あったなんて。

 

林業女子、まだまだ勉強不足。

 

台湾に来て初めて、

ヒノキは世界に6種類、しかも台湾と日本、北米にしかないことを知りました。

 

これってすごく貴重なことじゃないでしょうか?

建築材としても、香りも優れて、愛される

貴重な「ヒノキ」という木が、

こんなに豊富にあるエリアは他にないんです。

 

そう、

台湾と日本の林業は、世界視野で見ると、「ヒノキ林業圏」なのです。

しかも同じ「Hinoki」という言葉を使い、どちらの国でも人気の樹種ですから、

私達はひとつの「ヒノキ文化圏」をなしているとも言えそうです。

 

日本の外に出てみて、お隣台湾で気が付いたこと。

 

日本の林業は、「ヒノキ林業」の一つである!

 

そして日本人が、遠い台湾の山奥まで、ヒノキを求めて

ものすごい人力、お金、情熱を注ぎながら開発を進めたということですから、

世界一ヒノキ好きな民族かもしれない、

ということにも気が付いてしまいました。

(日本時代の阿里山絵図)

 

わたしもそのヒノキ大好き民族の一人なのだ。

それにしても、博物館の写真を見るからに、

台湾桧は、相当に巨大らしい!

ドキドキしてきました・・・

 

 

「本当に木が好きなんですね、二人とも表情がぜんぜん違います!」

と、魏さんに苦笑いをされながら、

この博物館を後にしました。

 

ここで熱帯らしくすごいスコールが降ってきましたが、

はたして無事に阿里山に辿り着くのでしょうか?

 

今回はここまで!

巨木の登場は「その3」までお楽しみに。