台湾から見た日本の林業その③:「アジア林業」

good morning! 台湾!

 

台湾4日目の朝は、祝山のご来光から始まりました。

前日の夕方に阿里山入りして、朝2:30起床、

毎朝出ている「ご来光列車」に乗ってやってきました。

 

 

それがこちら。「阿里山森林鉄道」です。

 

いまは観光列車になっていますが、

かつては材木を運ぶための林業インフラでした。

 

ご来光列車は、阿里山駅から祝山駅の間で、毎日日の出の時刻に合わせて走っていて、

ホテルで手配してもらうか、駅で切符を買えば乗ることができます。

けっこう混んでいて満員電車状態なので、座りたい方は早めに並ぶことをおすすめします。

行きの電車は3時台で、真っ暗でなにも見えなかったのですが、

ご来光を見た後の帰りの電車は、車窓から桧林の景色を楽しむことができました^^

 

大きいもので100年生くらいでしょうか、

高樹齢の森が広がっていました。

 

 

ディーゼルで動く森林鉄道。

赤いボディがかわいいですね♪

 

この森林鉄道、1906年から日本により建設が始まり、

嘉義から沼平までの距離72.7km、高度差2,200m以上、

「世界三大登山鉄道」と言われているそうですよ。

 

 

早朝から森の空気を吸って、すっきりした気分で一日がスタートしました。

ちなみに朝の展望台はかなり寒いので、防寒をしっかりと。

(うっかり薄着で来た私たちは、前日に阿里山の売店でジャンパーを買いました。)

 

ホテルに戻って朝食を済ませた後、いよいよ森へ!

阿里山駅から向かう道は、しっかり木道(神木群木桟道)が整備されていました。

ソメイヨシノが植えられていて、春にはお花見も楽しめるようです。

道の周りは、ほとんどスギの植林でした。

 

この日本の杉(Japanese cedar)が台湾や中国で育つと

「柳杉」とよばれて日本にも輸出されているようです。

 

森へ向かう途中、さりげなく生えているヒノキも

けっこう立派です。

 

駅から歩いても15分くらいでしょうか、

ここから巨木エリアになります!

 

まず出迎えてくれるのが、「三代木」。

親株の上にさらに子供、孫のヒノキが更新してできた光景です。

親木の上に種が落ちて成長していく、「樹上更新」するのは日本のヒノキと同じなんですね。

↑↑*日本の天然ヒノキ(加子母神宮備林):樹上更新により根元に空洞があります

 

この巨木が立ち並ぶエリア、面白いことに現役の小学校があるんです。

台湾で一番標高が高い小学校だそうですよ。

すぐそばには、こんな名もなき桧の巨木が普通にある・・・

なんてうらやましい学校でしょう。

 

こちらは樹齢2,000年という、「千歳檜」と名前がつけられた桧(紅檜)。

すごい、のひとこと・・・

 

写真にうまく収まらないほど大きいです。

 

そしてこのあたりで最も大きく、

「神木」とされているのが、こちらです。

「香林神木」こちらも樹齢2,000年以上の紅檜!

出会った瞬間、思わずゾクゾクッと身震いしました。

 

屋久島の縄文杉を彷彿とさせますが、ヒノキでこんなに大きいものは、日本のどこにもないでしょう・・・。

日本人なら柏手を打って拝みたくなる、まさに神が宿るオーラを持つ木でした。

 

ここはお昼近くになると、団体観光客でごったがえす人気スポットですので、早朝に行ってゆっくりご覧になることをおすすめします^^

 

ご神木の奥には、さらに散策道が続いていて、

1,000年クラスの巨木の森が広がっています。

 

観光客も少ないので、

鳥のさえずりなど聴きながら、とても気持ちよい散策ができます。

 

しばらく行くと、ここにも森林鉄道の駅がありました。

 

その名も「神木」駅。

今でも一日に何本かの列車が通り、乗ることもできます。

かつてここに立っていた巨木が名前の由来だそうです。

(落雷などにより枯死してしまったようです)

 

この阿里山の台湾桧の開発は、日本統治時代に始まったもの。

その当時の構想図が、日本人によって描かれています。

 

宿泊した阿里山賓館の旧館にあったものです。

(昭和9年・金子常光作「国立公園候補地 新高阿里山」)

 

さきほどから散策しているのはこのあたりでしょうか?

「小学校」の文字も見えます。

ここに林業の理想郷を作ろうとしたのでしょうか。

 

嘉義の街には「製材工場」の文字。

「農林学校」はKANOのことでしょうか。

 

「集材機」の文字も。架線集材やってたのかな?

ここも見てみたかったなぁ・・・

 

ほかにも歴史を感じる展示がありました。

 

旧館は檜造りの趣ある建物で、林業の歴史を知ることができる。

このホテルを選んでよかったと思いました。

 

ここ台湾は阿里山に、

桧を求めて鉄道を敷き、林業の理想郷を作ろうとした日本。

もちろん、天然資源の収奪という側面もあったと思いますが、

育成林業の礎を残したと思えるものが、森の中にありました。

 

スギ人工林に建つ看板に、

 

「撫育」

 

の二文字が。

 

これは日本、とくに吉野で使われる言葉で、

「撫でるように大切に木を育てる」という意味です。

 

この看板によると、この人工林は戦後(民国40年=1951年)に植林されたということですから、

日本統治が終わった後も、海の向こうでその精神が受け継がれていたと、信じてもいいのではないでしょうか。

 

なんだか胸が熱くなりました。

木を植え、育てる日本の林業、そして

それを海を渡り広めてきた祖先がいたことを、

もっと誇りに思っていいのではないかと感じます。

 

ちなみに、台湾の林業概要を調べてみると

 

・国土面積 約360万ha
・森林面積 約210万ha(森林率58.5%)
・人工林率 20%
・国有林率 93%
・素材生産量 46,230㎥(2012年)
・製材生産量 25,437㎥(2012年)

 

(台湾林務局WEBを参照)

 

国土面積は九州と同じくらいですが、

森林のほとんどが国有林となり、国内資源の保護政策もあって、

現在、素材生産量は約4.6万㎥(東京都と同じくらい)しかありません。

製材工場は400軒程度で、実質稼働しているのは100軒程度しかないというレポートもあります。

 

 

日本の素材生産量は約2,000万㎥で、

少ない、足りないと言われ続けていますが、

その育林技術と生産力は、実はもっと評価されてもいいのではないか、

アジアの中ではもっと存在感を出していけるのではないかと思わされました。

 

アジア林業

 

日本本土という枠を超えて、

アジアという広い視野を持ち、海の向こうで果敢に林業にチャレンジしてきた私達の祖先、

そして今・・・すこし、視野狭小になっていやしないかな?

 

久しぶりに海外の森と街を見て、

ガツンとやられたような、

月並みな言葉ですが、もっと広い視野で日本の林業を見ていきたいと感じた旅でした。

 

(「林業自虐史観」からそろそろ脱しよう!)

 

阿里山から嘉義までの帰りは、バスで2時間半。

2,000m下りた気圧の差でペットボトルも凹んでます。

 

この後、また台中で魏さんと合流し、ディナーをご一緒して楽しい夜を過ごさせていただきました。

本当にお世話になり、思い出深い旅行になりました。

 

Thank you, 台湾!

 

台湾の森。まだまだ少し覗いた程度で、また深く勉強してみたいですが、

現地で感じるものは多くありました。

 

★ヒノキ林業

★温帯林業

★アジア林業

 

そんな視野で、見ていきたい。

 

あれ・・・そういえば今回はいちおう”新婚旅行”だったはずが、

すっかり林業視察旅行になっていた~!

ま、これも私達らしいよね(笑)

 

また来ます!

I love 台湾♡