家のご近所にある神社の例祭に、はじめて行ってきました。
うちの町は、東京の下町。
商店街が元気で、個性的なお店が並んでいて楽しいところです。
ちょっと東京らしからぬ、いい意味で田舎っぽい雰囲気が気に入っています。
地域のご近所づきあいもさかんで、
この例祭も、法被を着た氏子青年会が取り仕切っていて、多くの若者や子供たちでごった返していました。
そんなお祭りの最中、ひそかに御神楽の演舞がされていました。
出店のガチャガチャした騒音に囲まれながらも、まったり楽しんでいる人たちに混ざり、夫婦で拝見しました。
演目は「天の岩戸」。
日本神話の中でも、あまりにも有名なエピソードですが、
弟である素戔嗚尊の悪行に怒って岩戸の中に隠れてしまった天照大神を、
神さまたちが力を合わせて外に引っ張り出すシーンです。
アメノウズメノミコトが神懸かりになって踊り、神様たちがドッと笑う。
「何々?なんで私がいなくなったのに、みんな楽しそうに笑っているの?」
と気になったアマテラスが外を覗くと、すかさずアメノタヂカラヲノミコトがその怪力で岩戸を押し開け、
無事に世界が光で満たされます。
めでたしめでたし!
というシンプルなストーリーではありますが、
その中に色々な教訓が含まれているのが、神話や昔話の面白いところです。
というのも、ここに、古代日本からの男女協力のありかたが描かれているような気がしたのです。
真っ暗な世界に光を取り戻すため、天の岩戸を開くというとても重要なミッション。
これは、女神であるアメノウズメと、男神であるアメノタヂカラヲの、どちらも欠けては成し遂げられなかったことなんでしょう。
女性は「共感」のウズを巻き起こす生き物。
女神アメノウズメの踊りで笑いが巻き起こることで、同じく女神であるアマテラスは「ちょっと何?楽しそうじゃない!」と、ウズウズして、あるいは引きこもっているのがちょっと寂しくなって、ついつい外を覗いてしまうんですね。
そこで、男神の出番。
男性は、目標に向かって真っすぐに力強くパワーを発揮する生き物。
タイミングを逃さず、自慢の手力で、一思いに岩戸を取り払ってしまいます。
神さまたちも大喜び。
もちろん、この2柱の活躍の背景には、鏡を造った神様、岩戸を封印した神様などたくさんの協力があってこそですが、
男神と女神がそれぞれ得意技を使い、力を合わせて世界を救うという表現は、太古の昔に先人たちがすでに発見していた、「女性活躍」であり男女共同のカタチなんだと思います。
もしもアメノウズメが、泣きながら「出てきてくださいよ~」と懇願したり、
「ちょっといい加減に出てきなさいよ!」と怒ったりしてしまったら、
アマテラスは余計にむっすりして引きこもり続け、
世界は永遠に闇の中だったかも・・・。
あるいは、アマテラスが外を覗いたタイミングでアメノタヂカラヲが岩戸を開かずに、顔色をうかがってモジモジしていたら、また閉じてしまったかも・・・。
今の時代に生きるアメノウズメになるべく、女性性とはなにか?男性性と力を合わせるとはどういうことか?
ヒントをもらえた気がしますね。
いろいろな解釈ができる不思議な物語、古事記は、高校生の頃から読んでなぜか好きなんです。
なにか迷ったときは、神話に立ち返ってみるのもいいかもしれません。