バースデー旅行で出かけた能登半島。
朝ドラ「まれ」の舞台にもなり、伝統工芸の「輪島塗」がよく知られていますね。
日本で唯一、砂浜をそのまま車で走れるという、千里浜なぎさドライブウェイ。
ちょっと車を止めて風でも感じてみようかと路肩に入ったら、見事に砂にハマってどうなるかと思いました。
旦那さんが車を押し、私がアクセル全開でハンドルを切ってなんとか脱出。
近くの海の家から、心配してスコップ片手に見に来たおじさんから
「姉ちゃん、ハンドルさばきが上手いね!」
をいただきました。ありがとうございます(笑)
輪島の朝市でお買いものを楽しんで・・・
白米千枚田を見て~・・・
「まれ」のロケ地にもなった、「間垣」で有名な大沢集落に宿泊。
TVで見たことがあったその独特の風景は、予想以上にインパクトありました。
集落をぐるりと囲んでいる、竹でできた「間垣」は、
海からの強い風と潮を防ぐための、優しい城壁のようです。
旅館も間垣の中。田中屋旅館さんにお世話になりました。
日本海はいつ見ても少し荒っぽいですが、小学生の頃は富山に住んでいたこともあり、すこし懐かしさを感じます。
「この旅館にも土屋太鳳ちゃんや常盤貴子さんが来たんだよ~」
と、おばあちゃん達が自慢げにお話してくれました^^
彼女たちが採って来たという岩海苔をはじめ、海の幸はもう最高です。
ところでその潮騒が聞こえる能登の町々ですが、
この地域独特なんでしょうか、なぜか下見板を張ったお家ばかりが並んでいるんですね。
ほら~
ほらほら~~
この写真は、天領「黒島」(伝建地区)の街並みですが、江戸時代の街並みもご覧の通り。
じつは、この木の板こそが、石川県の県木である「能登ヒバ」=アテ なんですって。
日本三大美林の「青森ヒバ」は有名ですが、それと同じ「ヒノキアスナロ」を、この地方では「档(アテ)」と呼びます。
(現地では「ヒノキ」と呼ぶ人もいました。)
潮風の当たる海辺の外壁といえば、焼杉か漆喰のイメージですが、
アテは耐久性が高い木なので、こんな風に塗装なしでそのまま使えてしまうようです!
耐久性に自信満々な空気を感じます。
張った直後はこんな風に、あたたかみのある木の色ですが、
時間が経つとシルバーグレーに輝いていくんですね。
すべて横張りで、縦張りはしないそうです。暴れを抑えやすい施工ということもあるのでしょう。
大沢集落のすぐ近くにある「桶滝」を見に山に入ると、
滝へと続く道に、ありました、アテの森(人工林)。
葉っぱはヒノキに似ていますが、いわゆる「アスナロ」の南方系であり、
苦いようなスーッとするような独特の芳香があります。
ヒノキは雪に弱く、北限は福島あたりですが、
アテは青森でも育つ強さを持っています。
(上がヒノキ、下がアスナロの葉の裏。模様が違うので見分けがつきますよ)
輪島塗資料館に行って知ったのですが、
アテは古くから輪島塗の素地にも使われているんですね。
近くにある素材をうまく生かした工芸品なのですね。
石川在住の林業女子に教えてもらい、「アテの元祖」にも会いに行きました。
そうそう、アテといえば、北山丸太等の床柱の相手柱として使われているのを見たことがあります。
真ん丸でピカピカの北山丸太の、いわば引き立て役で、目立たないような鈍い色とねじれた形が対照的になっています。
アテの柱の周りは、すこし土壁が崩れていたのも記憶にあります。
そんな風に、ちょっとクセが強くて暴れん坊(じゃじゃ馬?)のアテ。
元祖の木も、やっぱり、すごくねじれてますね!
東北地方から持ってきて植えた苗の元祖と言われています。
他の地域にはあまりない、初めて見るアテの森に感激。日本の林業と一口に言っても本当にバラエティ豊かです。
いつも旅するたび、日本は広いな~と思います。
その土地にある素材で、道具も住まいも、風景もできている。
とても理に適っていてうつくしい!
誕生日プレゼントということで、輪島塗のお椀をペアで買ってもらって帰りました。
今回も、懲りずに「林業旅」をコーディネートしてくれた主人に感謝です(笑)
ちなみにお魚の下に敷くのもアテの葉っぱ。
能登はアテの国でした。