本日は「まいまい京都」ツアーで20名の方を北山へご案内しました。
地域の方々にご協力・ご出演いただきながら、中川の里を満喫できるツアーになったと思います。
ガイドのときには毎回恒例ですが、この地域の女性の昔からの衣装を着ていきます。(要するにコスプレです)
自宅から、これをコートの中に着て、電車やバスで現地まで移動しました(笑)
大きめのマフラーを巻いていったので、中に何を着ているのか、すれ違う人たちも気が付かないようでした。うん、いける。
コートの下から覗くたちかけの裾は、意外と都会的なストライプ柄に見えるみたいで、「おしゃれなズボンですね」と言われました(笑)
この衣装、中川や杉阪の独特のもので、北山の女性たちが丸太磨きなどするときの仕事着だったものです。
地元の方から、「うちの母ちゃんはもう着ないから、PRなんかに使ってくれ」と言われて、大切な衣装を譲っていただいた、my衣装です。
昔は北山にお嫁に来る女性は、みんな嫁入り道具として持って来たそうですよ。
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昔の女性の仕事着といえば、京都だと「大原女」などの衣装は有名ですが、
エリアによって女性の仕事着もファッションが違うんですね。
この「北山女」の衣装は、どんなふうに着るのか、見てみましょう。
半纏(はんてん)
まずはこれを着ます。
作業用に袖を省略した着物ですね。
三幅前掛け
半纏の上から、エプロンのように腰に巻きます。
文字通り3つに分かれていて、切れ込みがちょうど股の間に来るようにします。
帯も兼ねているので、いわゆる着物を着る時につける固い帯は省略することができます。
帯の部分の色は、若い女性は赤色など華やかなカラーで、年配の方は落ち着いた色合いになっていきます。
また、この三幅前掛けの「縫い目」を赤い糸で目立つようにしておいて、それが次にご紹介する「たちかけ」の隙間からチラッと見えるのが、何とも粋なおしゃれなんだそうです。乙女心はいつでもディテールが大事。
たちかけ
最後に、たちかけを履きます。
前⇒後の順につけます。トイレに行きたくなったら、後ろの紐だけを解けばいいという、よく考えられたズボンです。
諸説あるのですが、このたちかけは、なるべく足を短く見せるように履くのがおしゃれだとか・・?
また、集落によっては、反物を2つに断つところと3つに断つところがあるので、たちかけの長さが違うとか。
ちなみに私の持っているこのたちかけの縞模様は、地域でもめずらしい上等のいいものだと言われました。なかなか素敵なストライプでしょ。
手ぬぐい、たすき、足元
最後に、仕上げとして、頭には手ぬぐいを「姉さんかむり」して、
肩に「たすき」をかけて完成です。
足元は地下足袋であったり、水を使う作業の時はゴム長を履いていたそうです。
まだまだ私も上手に着こなせていない気がしますが、本来は仕事着なので、人によってもいろいろな着崩しもあるようで、動きやすさが一番なのでしょうね。
ちなみに、お隣の高雄地域では、同じような衣装でも三幅前掛けをたちかけの上にするんだという説もあり、着こなしが隣村どうしでも違っていたようです。
ちょっとエリアが違えばファッショントレンドが違う。原宿系と渋谷系みたいなものでしょうか・・(?)
昔から女心は変わらないものですね。
北山女の衣装にまなぶこと
この衣装は、絣の布をひとつひとつ手縫いで作られていて、
洗濯機でじゃぶじゃぶ洗っても大丈夫。なんといっても仕事着ですね。
綿でできているので、汗も吸うしすぐ乾きます。
また、三幅前掛けの帯で内臓があたたまるためか、
寒さもけっこう平気なんですね。
ちなみに私は高校時代に空手をやっていましたが、
あんな袖口もスカスカの寒そうな道着でも、帯を締めれば不思議と大丈夫というか、
重心が下がって背筋が伸び、気が引き締まるのでしょうか、人を強くするアイテムだと思います。
和服とくに「帯」というのはとても優れた衣服だと思います。
こんなふうに、日本人に合った構造で、意外と合理的。
しかもかわいい作業着に、学ぶところは多いです。
最近は林業ウェアの開発もあちこちでされていますが、だいたいが化学繊維ですよね。
チャプスや防護服が必要な伐採現場などを除けば、林業にも、こういう軽やかな仕事着があってもいいのではないかと思います。
今では、北山地域でも着る人はいませんが、
現代版で新作を作ったら、意外と街に住む女子や農業女子からもニーズがあるんじゃないかな・・と思うのでした。いかがでしょうか?