杉は人なり。木口から覗く杉のバラエティ

仕事や旅行先で、原木市場や製材所の土場に積まれている丸太を見ることが多くあります。

この写真は、先日、徳島県のある場所で発見した杉丸太です。

 

徳島といえば杉の産地のイメージ。

元は焼き畑の作物の間に植えていたと聞いたこともありますが、のびのびと育った杉が、焼杉やフローリングなどの特に板類に加工されているのをよく見かけます。

 

この丸太を見て、何かお気づきの点はありませんか?

 

杉は、抽出成分(生きている木が虫などから自らを守るための成分)がつまった丸太の真ん中(心材)部分、いわゆる「赤身」と

外側のまだ抽出成分が浸透していない辺材部分の「白太」がくっきりと分かれているのが特徴の一つです。

私達マニアが「ほ~」と思うのは、実は、赤身と白太の間にある、白くみえる輪っかの部分です。

これを「白線帯(はくせんたい)」とよびます。

 

これが実は、水を通しにくい性質を持っているということで、吉野の樽づくりでは欠かせない、樽丸の超大トロの部分とされています。吉野杉には、この白線帯がよく出るそうですよ。

なんでも、水分子もアルコール分子も通さないので、お酒を保存するにはもってこい、という説があります。

 

なぜこの白い部分が出るのか、材木屋さんにきいてもよく分からないのですが、全ての産地で出るわけではなさそうです。

徳島の杉でこんなに白線帯がきっちり出ることがあるんですね、土質が似ているのか、品種の問題なのか?

だいぶマニアックではありますが、ちょっとした感動ものの出会いだったのです。

 

ちなみにこの市場でみた徳島の杉の全体的な印象としては、木目がゆったりして、心材が黒いものがあって(黒芯)、枝打ちはあまりされず、のびのびしている。

この、黒芯というのも未だに原因が解明されていないようですが、乾燥しにくいので避けられることもあります。でも濃厚な(?)抽出成分が詰まっているのでしょうか、腐りにくいと言われていますね。

 

丸太の年輪が見える切り口を「木口(こぐち)」といいますが、そこが丸太の一つの見どころで、地域によって色々な表情を見せます。

では他の産地の木口がどんななのか、ざっくり!私の手持ちの写真コレクションから見てみましょう。

 

真ん丸・ピンク・高樹齢の「吉野杉」

はい、いきなり出ました。さきほど白線帯の話でも出てきましたが、言わずと知れた奈良県吉野郡の吉野杉。

原木市場を見ると、おそろしいほど真ん丸、真円に近い丸太ばかりが並んでいます。しかも100年や200年を越える木ばかり。

 

こんな木ばかり生えているわけではないのですが、500年の歴史ある林業地だけに高樹齢、大径木が多いのが特徴ですし、また間伐の繰り返しで密度管理をすることで、断面が扁平にならずに、真ん丸。自然落枝により枝、節が表に出てこない状態になっています。また、赤身部分がピンク色なのも特徴だと言われています。

 

智頭杉

枝打ちが早い!「智頭杉」

こちらも老舗林業地の智頭ですが、枝打ちを大事にする地域ですので、早い段階で枝打ちされた跡がよく見えます。刃物でスパッと切られた断面が見えますよね。

吉野に負けず古い歴史を持ち、記念市の時などは100年を超える年を重ねた丸太もお目見えします。

 

葉枯らしで色が美しい「天竜杉」

こちらも吉野、尾鷲と並んで日本三大人工美林(諸説あり)の天竜美林より。伐採した後にしばらく葉をつけたまま山に置いておき、蒸散の力を利用して乾燥させる「葉枯らし」がよくされていて、心材の色が美しいといわれます。

天竜は明治期に造林が進みましたので、やはり80年以上の木、100年超える木も多く出てきます。

(いいアングルの写真がなくてすみません)

 

 

のびのびしてる?九州の杉

植物は、あたたかい地域ほど成長が速いのは想像がつきますよね。

たとえば九州の杉は、東北の杉よりも速く育つから、年輪の幅が広いというイメージではないでしょうか。

ところが、九州といえども山は色々。

見事な真円の木、年輪が詰まった木、もちろんのびのびと育った木もあります。

木が育つ土や環境、育て方によって、ほんとうに様々です。

今回は、地域による違いをお見せしようと思ったのですが、傾向はあったとしても、それもただのステレオタイプなのかもしれない、ということにここまで書いてから気が付きました(苦笑)

また伐採されたシーズンや、切ってからどれだけ時間が経ったかなどでも、見た目は変わってしまいます。

 

今度から、なるべく同じ時期の同じアングルの木口の写真をストックしておこう、というのが個人的なオチになってしまいました。

 

 

いざ、木口を見よ!

木口というのは、木の顔ですね。

そこから読み取れる情報はとてもたくさんあります。全体の形、大きさ、年輪、色、枝打ちの跡・・・

どこでどんなふうに育って(育てられて)きたか、あるいはDNA(品種)まで見抜く人もいるようです。

 

原木市場では、木口以外にも曲りや樹皮の様子などから木の性質を見極めて、自分が求める木を競り落とす戦いが日々繰り広げられています。

断面の仕上げ方で、木を伐った人のチェンソーの腕や、木に対する思いまでわかってしまうとか!?

 

木口は丸じゃないこともあります。よくわからない色のときもあります。

そしてそれは、良し悪しではなく、適正というもので。

最後はどんなふうに製材機の刃を入れるのか、料理する人の腕次第で、適正や個性を存分に発揮しうるかが決まります。

 

 

木口コレクションいかがでしたでしょうか。

「杉は人なり。」といわれるほど、地域や育て方によってものすごいバラエティを見せる杉。

なんとなく傾向はあるのですが、はたして写真を見て「これはどこの杉でしょう!」とクイズをしても、ひっかけ問題が多くなってしまいそうです(笑)

 

白線帯との出会いをきっかけに、まとめてみた木口考でした。

 

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