この本に出会って、なぜ大学の樹木実習が物足りなかったのかわかりました(苦笑)
大学の林学系では通称「葉っぱ実習」というのがあり、色々な山に行ってそこに生えている樹木の枝や葉を観察し、20個覚えるまで帰れない、といった形式で樹種を叩きこまれるのですが・・。
確かにいろいろな葉っぱの付き方、育ち方、香りとか手触りで樹種を覚えるのはおもしろく、私は苦手な方ではないので楽しんで受講していました。
勉強や学問の第一歩は暗記や覚えることですし、生態的な視点で森を理解するのには欠かせないお勉強であることはわかっていましたが、それでも、なんだか木の名前を覚えるだけではな~と、ちょっとだけ物足りなかったのです。
また、この葉っぱを覚えるのが苦手な人はとことん苦手で、いつも居残りになっている人もいましたね。
そんな葉っぱ実習で、もしも
山で出会った木と、いったいそれと自分がどう関係あるのか?
「ああ、これに使う木なんだ!」とわかったら、ぐっと親しみが湧きますし、その木のことを覚えてしまいますよね。
そんな風に、山での立ち姿から暮らしの中で活躍するイメージまで結びついて、直感的によくわかる!図鑑に出会いましたのでご紹介します。
これが学生のときにあったなら、もっと早く樹種を覚えていたのに(笑)
「種類・特徴から材質・用途までわかる樹木と木材の図鑑」(西川 栄明・著、小泉 章夫・監修)
この本で掲載されているのは、生活の中で何かに利用できるいわゆる有用樹種のみ101種に限られるものの、
これは図鑑を超えて、日本人が木とどう向き合って来たかその知恵や歴史までじんわりと感じることができる、ひとつの物語のようなすてきな本です。
一部だけ中身をご紹介したいと思います。
写真が大きくて、どれも美しいです。
1つの樹種について見開きセットになっていますが、左ページの写真は、その樹の特徴やストーリーがよくわかる象徴的なチョイスです。
たとえば「一位」の名の通り、高貴な人の「杓」に使われたことから、イチイのページは杓の大きな写真です。
第一印象で、イチイについて覚えてしまいます。
または、その木の立ち姿や葉っぱの写真などが代表の一枚になることも。
こちらは大台ケ原の霧が立ち上る山にそびえる、トガサワラの写真です。樹形が特徴的なので覚えやすいですね。
海外のダグラスファー(ベイマツ)に近い種とのことなので、ダグラスファーを知っていれば、ああ似ているな、と覚えることもできます。(そんな人は稀か)
この本のための撮り下ろしの写真も多いようで、このトガサワラの写真は私も知っている三重の材木屋さんが撮影に立ち会って、大雨の中たいへんな苦労をされて撮られた一枚とのことでした。魂がこもっているのを感じます。
ということで、これから日本の木を覚えたいな~、木の名前は知っているけどもう少し身近に感じて知りたいな~、という方には大変オススメの一冊です。
これで勉強しながら、先人の知恵をいただいて、あらゆる木と戯れたいものです^^
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